No. 122 原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症 原発性アルドステロン症とは、副腎からアルドステロンというホルモンが勝手に過剰に作られ、その作用で高血圧などの症状が生じる疾患です。高血圧の約5~10%の原因になっています。また治療してもなかなか治らない高血圧(治療抵抗性…

No. 122 バランストレーニングが記憶力や空間認知能力を改善する

バランストレーニングが記憶力や空間認知能力を改善する Rogge, AK, et al. “Balance Training Improves Memory and Spatial Cognition in Healthy Adults.” Scientific Reports 7, no. 1 (Dec 2017). https://doi.org/10.1038/s41598-017-06071-9. 運動が認…

No. 121 誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ

誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ 「治療」という医学雑誌の最新号に「終末期の肺炎」という特集記事がありました。「終末期」というと、がんをイメージする人が多いと思います。しかし最近は、がんでない疾患(非がん疾患)の終末期・緩和ケアが注目されつつあ…

本の紹介:「インフルエンザ なぜ毎年流行するのか」

番外編 本の紹介:「インフルエンザ なぜ毎年流行するのか」 インフルエンザ なぜ毎年流行するのか (ベスト新書) [ 岩田健太郎 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 885円 過去のミニレクチャーでも感…

No. 120 急性胆嚢炎

急性胆嚢炎 急性胆嚢炎は、食後数時間してから吐き気や嘔吐、上腹部の痛み、悪寒や発熱などの症状が出現する病気です。胆石をもっている人に起こりやすく、胆石が胆管にはまって、そこに細菌感染が起きて発症します。9割はこの結石が原因で起こるのですが、…

No. 119 体位ドレナージは有効か?

体位ドレナージは有効か? 体位ドレナージとは、体位によって喀痰を排泄する方法です。100年以上も前からある方法です。姿勢をあれこれ変えることで喀痰を中央の気管へ移動させて体外へ排泄させます。例えば右の肺に喀痰がある場合は左を下にした側臥位をと…

No.118 外傷性脳損傷Traumatic Brain Injury

外傷性脳損傷Traumatic Brain Injury : TBI PATHOPHYSIOLOGY 一次的な傷害は衝撃そのものによるもので、受傷後数時間以内に起こります。びまん性軸索損傷(DAI)は、衝撃時の加減速、回転力、および白質と灰白質との間の組織密度の差によって生じる軸索のせん…

No. 117 呼吸数 ー4番目のバイタルサインー

呼吸数ー4番目のバイタルサインー 入院している患者さんは毎日「バイタルサイン」を測定されます。「バイタルサイン」には、体温、心拍数、血圧、そして呼吸数が含まれます。最近は呼吸数の代わりにパルスオキシメーターで測定される経皮的動脈血酸素飽和度S…

No. 116 脳卒中患者でのイメージトレーニングの効果

脳卒中患者でのイメージトレーニングの効果 イメージトレーニングは、プロスポーツ選手の間では普通にトレーニングに取り入れられています。イメージトレーニングが脳卒中後の上肢機能の改善にも有効かどうか検証した論文を紹介します。 Motor imagery train…

No. 115 大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症 心臓には4つの部屋があり、全身から帰ってきた血液が大静脈から右心房へ集まり、右心室へ行き、肺へと出てゆき、二酸化炭素を出して酸素を取り込んだ後、左心房へと戻り、左心室へ行き、最後に大動脈へと流れて全身へ血液が供給されます。こ…

No. 114 反復練習が脳卒中後の筋力におよぼす影響

反復練習が脳卒中後の筋力におよぼす影響 脳卒中によって麻痺が起こると手足が動かしづらくなります。その麻痺がどの程度の麻痺かを表現する方法として、複雑な動きがどの程度できるのかという観点から点数をつける評価方法と、単純に筋力で評価するという方…

No.113 低カリウム血症

低カリウム血症 低カリウム血症はありふれた検査異常です。3.6mEq/L以下の低カリウム血症は入院患者の21%に認められるという報告があります。ほとんどの場合は特に症状もなく、カリウムを補給したりする必要もありませんが、中には急いで治療する必要のある…

No.112 不明熱(FUO)

以下は、Harold W. Horowitz : PERSPECTIVE; Fever of Unknown Origins or Fever of Too Many Origins? NEJM. JAN 17, 2013.の要約です。 不明熱(FUO : Fever of Unknown Origin)とは、38.3 ℃を超える発熱が3週間持続しているにもかかわらず、入院しての1週…

No. 111 インフルエンザ迅速検査について

インフルエンザ迅速検査について インフルエンザの季節が近づいてまいりました。院内での流行は避けたいところですが、起こるときには起こります。早期発見のためにインフルエンザの迅速検査キットを用いることがあります。しかしこの検査にはいろいろと問題…

No. 110 脳卒中患者にも筋トレは有効

脳卒中患者にも筋トレは有効 リハ業界では過去にさんざん議論になった問題のひとつに「努力を要する活動や筋トレは、脳卒中片麻痺患者に有益か?それとも痙性を増強してしまい有害か?」というものがありました。これについては「筋トレは脳卒中片麻痺患者の…

No. 109 トラゾドン

トラゾドン 高齢者の不眠に対してベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使用することの危険性については「No.60 高齢者に睡眠薬は安全か?」で述べました。その時、トラゾドンという薬についても少し触れましたが、今回はこのトラゾドンについて掘り下げます。 トラ…

No. 108 脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練

脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練 毎日行っている病棟での立ち上がり訓練、回復期リハ病棟では多くのところで行われています。せっかくやるならより効果的な方法で行いましょう。今回紹介する論文は、脳卒中後の片麻痺のある患者さんを対…

No. 107 脊椎術後合併症

脊椎術後合併症 1.硬膜外血腫 概 要:硬膜外腔に血液が貯留して脊髄や馬尾・神経根を圧迫し、疼痛や麻痺を生じる 発症時期:術後2日以内が多いが、離床開始後に起こることもある 危険因子:抗血栓薬・抗凝固薬、広範囲の手術、内視鏡手術、高血圧、血液凝固…

ミニレクチャー No. 106 心肺機能は鍛えるほど長生きできる?

心肺機能は鍛えるほど長生きできる? Association of Cardiorespiratory Fitness With Long-term Mortality Among Adults Undergoing Exercise Treadmill Testing Kyle Mandsager, MD; Serge Harb, MD; Paul Cremer, MD; Dermot Phelan, MD, PhD; Steven E. …

ミニレクチャー No. 105 比較的徐脈とは?

比較的徐脈とは? 38.3度よりも高い発熱があると、心拍数は1度上がるにつれて8~10回/分増える。これは1800年代にCarl von Liebermeisterによって発見されたのでLiebermeisterの法則という。38.3度以上の発熱があるにもかかわらずこの法則通りの心拍数の上昇…

ミニレクチャー No. 104 下血について

下血について 肛門から血液が排泄されることを「下血」と言います。血液の出所は消化管の「どこか」である場合がほどんどですが、消化管のどの辺りからの出血なのかで、その後の対応が異なってきます。出血源を知ろうと思えば、内視鏡検査で実際に出血してい…

ミニレクチャー No. 103 脳梗塞の場所と麻痺の関係

市川 博雄:症状・経過観察に役立つ 脳卒中の画像のみかた, 医学書院, 2014.より引用

ミニレクチャー No. 102 巻き爪の対処法

巻き爪の対処方法 「巻き爪」、専門用語では「陥入爪」といいます。老若男女誰にでも起こります。原因はさまざまですが、高齢者の場合は十分に足のゆびに体重がかからないことが原因のひとつにあります。本来、足の爪は体重がかかることで平らになる方向に力…

ミニレクチャー No. 101 慢性硬膜下血腫は手術すべき?

慢性硬膜下血腫は手術すべき? 慢性硬膜下血腫は転倒して頭を打つなどの出来事からしばらくして(通常1~2ヶ月後)、頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血腫がたまる病気です。脳と硬膜をつなぐ静脈が破けることにより、髄液と血液の混ざった貯…

No. 100 「知っている」と思えばそこで進歩は止まる

「知っている」と思えばそこで進歩は止まる 4月の回復期リハ病棟開設に伴って始めたこのレクチャーもついに100回目を迎えました。あまりリハビリテーションらしくないことも含め、現場でその時必要な内容を書くようにしてきました。多くは本や論文の内容を引…

ミニレクチャー No. 99 敗血症について

敗血症について 入院中の患者さんは、肺炎や尿路感染症など様々な感染症を起こすことがあります。感染症が重症な場合には、感染した元の臓器のみならず、全身の臓器に致命的な障害を起こすことがあり、その状態を敗血症と言います。 この時の臓器障害を評価…

ミニレクチャー No. 98 スピーチカニューレについて

スピーチカニューレについて スピーチカニューレとは、スピーチバルブを装着した側孔のあるカニューレのことです。スピーチバルブにはフィルムが入っていて、バルブからは息は吸えますが、吐く息はバルブを通らずに側孔から声帯へと流れるため声が出せます。…

ミニレクチャー No. 97 Critical illness polyneuropathy and myopathyとは?

Critical illness polyneuropathy and myopathyとは? critical illness polyneuropathy and myopathy:CIP/Mとは、日本語にすると重症疾患多発神経障害および筋障害と言い換えれらます。ただニューロパチーやミオパチーは〇〇障害と訳すとややニュアンスが…

ミニレクチャー No. 96 感染対策:インフルエンザ予防接種の重要性

感染対策:インフルエンザ予防接種の重要性 インフルエンザシーズンが近づいてまいりました。毎年入院患者さんに流行して面会制限をする病院が必ずあります。流行を予防するための手段として予防接種がありますが、「インフルエンザの予防接種なんて効かない…

ミニレクチャー No. 95 脳梗塞の種類

脳梗塞の種類 脳梗塞は脳細胞への血流が途絶えたことによって、脳細胞が死んでしまうことで起こります。その原因によっていくつかに分けられます: 心原性脳塞栓症:心臓の中にできた血栓が脳動脈に流れて血管をつまらせたものです。心房細動によるものが最…