入院してすぐに退院時サマリを書こう

急性期病院での診療では、目の前で起こっている事態を解決するための検査や治療が行われます。とにかく命を救う、バイタルを安定させて病態を上向かせる、というこを考えて診療が行われます。

一方で、回復期リハビリテーション病棟で日々診療・ケアをしているみなさんは、どのような心持ちで取り組んでいますか?目の前の問題を解決することで満足していませんか?もちろん、状態が急変したり、急いで対処すべき事態が起こることはあり、急性期病院と同様の心持ちで診療に当たることはあります。しかし目の前の問題を解決するだけで満足していては十分ではありません。目の前の問題にだけ対処していては、リハビリテーションはうまくいきません。その患者の未来の姿、未来の生活を予想して、その予想した姿に到達するために必要なことを計画立てて実行する必要があります。

正確に言うと、急性期病院でも未来の姿を予想して診療されています。ただ予想している未来が回復期病棟における未来よりは、かなり近い未来、翌日か翌週程度、病院を退院する頃の未来なのに対して、回復期病棟で予測する未来は、その患者が退院した後の生活、退院後も続くであろう生活を予想して、起こりうる問題を解決すべく、今から何ができるのかを考えて診療にあたる必要があります。

患者の未来の生活を正確に予測する(「予後予測」といいます)には、色々な分野の知識と経験が必要です。一朝一夕には身につかないものですが、日々の経験を蓄積して勉強しましょう。

おすすめの勉強法をひとつ紹介します。新しく入院患者を受け持って入院時のアセスメントをおこなったら、入院当日もしくは1週間以内くらいで退院時サマリを書いてみてください。そして、その患者が実際に退院した時に、実際のサマリと比較して何が予想と違ったか、なぜ違ったのか、もしその違いが悪いものであったがなら、どのタイミングで何をしていたら防げたのか振り返ってみてください。きっと次の患者でその経験を活かすことができるはずです。予想がうまくできるようになれば、入院中トラブルなく順調にADLが向上し無事退院します。劇的なことは起こりませんがそれが質の高いリハビリテーション医療だと思います。退院直前にサマリ作成業務に追われなくてすむというおまけもあります。