2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ミニレクチャー No. 79 高次脳機能障 その3:注意障害とは?

高次脳機能障 その3:注意障害とは? 高次脳機能障害のなかでよくみられる症状として「注意障害」があります。普段「注意力」といえば、目の前のことに集中したり、または大切なことを見逃さず、聞き逃さずに情報を収集したりする能力の事をさして言うと思い…

ミニレクチャー No. 78 脊髄損傷 その2:排尿管理

脊髄損傷 その2:排尿管理 脊髄損傷によって膀胱と尿道括約筋が麻痺すると、尿意・排尿感がなくなり、頻尿、尿失禁あるいは尿閉となります。尿が出ないために行われる安易なカテーテル留置がもとで治らない膀胱炎を起こし、難治性尿路感染症になり、ついには…

ミニレクチャー No. 77 感染対策:血液培養は2セットとる

感染対策:血液培養は2セットとる 肺炎や尿路感染症などの細菌感染症は抗菌薬で治療が行われます。抗菌薬はものによって、たくさんの種類の細菌に有効なもの(広域な抗菌薬)と、ある程度ターゲットを絞った抗菌薬(狭域な抗菌薬)があります。重症感染症では最…

ミニレクチャー No. 76 脊髄損傷 その1:基礎編

脊髄損傷 その1:基礎編 脊髄は脳と指令をやりとりする神経の通り道です。脊髄損傷では、傷害が脳に近ければ近いだけ影響を受ける脊髄の範囲は広くなります。例えば、頚髄損傷では頚髄部分だけでな く胸髄・腰髄・仙髄部分も伝導路障害の影響を受けます。損…

ミニレクチャー No. 75 大腿骨近位部骨折の意外な真実

大腿骨近位部骨折の意外な真実 大腿骨近位部骨折とは大腿骨頚部骨折や転子部骨折、転子下骨折の総称です。回復期リハ病棟にも、転倒が原因で骨折し、手術後に入院してくる高齢の患者さんがたくさんいます。 回復期リハ病棟に入ってくる患者さんだけを見てい…

ミニレクチャー No. 74 夜間頻尿について

夜間頻尿について 膀胱は、大きくなって尿を貯める機能と、意図した時に収縮してしっかりと尿を出す機能という真逆のことを問題なく行う必要があります。尿を貯めること(蓄尿)ができなくなると、尿意切迫感、切迫性尿失禁、頻尿、夜間頻尿、腹圧性尿失禁など…

ミニレクチャー No. 73 高次脳機能障害 その2 :高次脳機能障害でおこる症状は?

高次脳機能障害 その2 :高次脳機能障害でおこる症状は? 神経細胞は単独で様々な機能を担っているのではなく、他の神経細胞ネットワークを作って電気信号をやり取りすることで、五感(嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚)から入ってきた情報を処理して、(目的のあ…

ミニレクチャー No. 72 高次脳機能障害 その1 :高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害 その1 :高次脳機能障害とは? 高次脳機能障害とは、脳の損傷が原因で生じた認知や精神機能の障害です。前頭葉の広い損傷で起こる「記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害」などと、大脳の特定の部位が損傷されることで起こる、…

ミニレクチャー No. 71 リハに関わる人の職業病:腰痛

リハに関わる人の職業病:腰痛 回復期リハ病棟に入院する患者さんは、ほぼ全員が日常生活動作ADLに介助が必要です。介助は、患者さんの身体機能を引き出すことが大切なのは言うまでもありません。それぞれの患者さんの能力を把握し「できるADL」を「している…

ミニレクチャー No. 70 くも膜下出血の回復期リハでの注意点

くも膜下出血の回復期リハでの注意点 くも膜下出血では、急性期の治療を乗り越えて回復期リハ病棟へ移ってからも注意すべきポイントがいくつかあります。 脳血管攣縮 これは脳の血管が一時的に収縮して細くなってしまう状態で、細くなった血管の先には血流が…

ミニレクチャー No. 69 くも膜下出血について

くも膜下出血について くも膜下出血とは、くも膜と軟膜の間(くも膜下腔)に出血が生じ、脳脊髄液中に血液が混入した状態です。典型的には、突然起こった人生最悪の頭痛で発症します。ただし、軽い場合や、本格的な出血の前のごく少量の出血(警告症状といい…

ミニレクチャー No. 68 脳卒中 その6:Pusher症候群について

脳卒中 その6:Pusher症候群について 「Pusher症候群」は、脳卒中後の片麻痺のある患者さんで、麻痺していない側の手足で床や座面を押して麻痺している側へと傾いてしまい、放っておくとそのまま倒れてしまう状態のことです。介助者が傾きを修正しようとして…

ミニレクチャー No. 67 痙縮について

痙縮について 痙縮とは、筋が勝手に収縮し続ける状態です。脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経の疾患で起こります。痙縮の仕組みを理解するには「伸張反射」について知る必要があります。伸張反射とは筋が引っ張られた時に、まさしく反射的に筋が収縮することで…

ミニレクチャー No. 66 熱中症について

熱中症について 異常に暑い日々が続いております。熱中症による救急搬送・死亡のニュースも後をたちません。熱中症で重症になるのは高齢者がほとんどです。病院入院中は快適温度に保たれているため、回復期リハ病棟で、熱中症に遭遇することは滅多にないと思…

ミニレクチャー No. 65 CRPS(複合性局所疼痛症候群)について

CRPS(複合性局所疼痛症候群)について けがや手術の後にはどうしても痛みがでます。ただし、その痛みは傷が癒るにつれて軽くなり、いずれは無くなります。ところが、まれに痛みが傷のわりに不釣り合いに強く、しかも長く続く場合があります。このような状態を…

ミニレクチャー No. 64 「あしが腫れてます」―下腿浮腫について

「あしが腫れてます」―下腿浮腫について 夕方になるとあしがむくんで靴がきつくなる、なんてことは皆さん経験があると思います。この状態を「浮腫」といいます。浮腫は皮下組織に細胞外液がたまった状態です。原因は様々ですが、多くの場合は大慌てするよう…

ミニレクチャー No. 63 心臓が弱っているヒトのリハビリテーション

心臓が弱っているヒトのリハビリテーション 心臓が弱った状態、いわゆる「慢性心不全」と呼ばれる状態の患者さんに対しても運動療法は有効です。「心不全の人は絶対安静」はもはや過去のものです。運動療法を行った方が慢性心不全の患者さんは長生きできるこ…

ミニレクチャー No. 62 伝達講習「腸内環境からみた経腸栄養管理 -プレバイオティクスとプロバイオティクス-」

伝達講習:腸内環境からみた経腸栄養管理 -プレバイオティクスとプロバイオティクス- 7月28日に第12回PDNセミナーへ行ってきました。PEGや栄養剤の基礎的なレクチャーとワークショップがあり、特別講演として滋賀医科大学の佐々木雅也先生の講演がありました…