2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ミニレクチャー No. 28 延髄外側症候群(Wallenberg症候群)とは?

延髄外側症候群(Wallenberg症候群)とは? 脳卒中は、問題の起こった血管の場所によって起きる症状は様々です。中には特徴的な症状を示すものもあり、発見した人の名前のついているものがあります。延髄の外側の脳梗塞もそのひとつで、「ワレンベルグ症候群」…

ミニレクチャー No. 27 急変対応:救急カートの中身は?

急変対応:救急カートの中身は? 回復期病棟では急変はそれほど多くは起こりません。だからこそ、準備やシミュレーションなど普段から対策をしておかないと、いざという時に動けなくなってしまいます。救急カートの中にある薬剤のうち重要なものについて説明…

クイズ(2017年リハ専門医試験より) その2

6.空気感染する病原体はどれか。二つ選べ。 (1)ムンプスウイルス (2)MRSA (3)結核 (4)マイコプラズマ (5)水痘 答え:(3)(5) 解説:No, 22参照 7.体幹筋の作用で誤っているのはどれか。 (1)腹直筋は体幹を屈曲させる。 (2)腰方形筋は体幹を側屈させる。 (3)多…

ミニレクチャー No. 26 カルテの書き方:SOAPの各項目には何を書けばよいか?

カルテの書き方:SOAPの各項目には何を書けばよいか? カルテ記載は医療を行っていれば避けて通れない作業です。さらに電子カルテではそれぞれの職種の記載が一元化され、情報共有が容易になりました。記載方法もPOMR(Problem Oriented Medical Record)と呼…

クイズ(2017年リハ専門医試験より) その1

1.リハビリテーションの理念について正しいのはどれか。二つ選べ。 (1)語源的には「機能回復」を意味する。 (2)歴史的には「破門の取り消し」という意味で使われた。 (3)「犯罪者の更生」という意味でも用いられる。 (4)医学の中に定着したのはベトナム戦争…

エクセルで出来る生物統計

Biology statistics made simple using Excel Neil Millar School Science Review, 2001,83 統計は難しい。その公式は複雑で、計算は煩雑で、表もややこしい。しかし実際には生物学者や統計学者はそのような計算式や表は使わず、統計ソフトを用います。でも…

ミニレクチャー No. 25 不整脈でドキドキしないためには?

不整脈でドキドキしないためには? 心臓は体に血液を送り出すためのポンプです。しっかりと収縮・拡張を繰り返し血液を全身に届けなければなりません。心臓の収縮は洞房結節という場所から発せられた電気信号が、一定のルートで規則正しく心臓全体に伝わるこ…

ミニレクチャー No. 24 老年症候群とは?

老年症候群とは? 「歳をとると3つのことが始まる。まずは記憶力が落ち、残り2つは思い出せない」 ――Sir Norman Wisdom 平成29年の厚労省統計によると、回復期リハ病棟に入院する患者の67%は75歳以上の高齢者だそうです。高齢者はこれまでの病気や怪我、そし…

ミニレクチャー No. 23 経鼻胃管、如何せん

経鼻胃管、如何せん 嚥下障害のある患者さんでは、栄養摂取の方法として経鼻胃管、いわゆるマーゲンチューブを挿入し栄養剤の注入を行うことがあります。そのような患者さんが経口摂取を始める時に、経鼻胃管を抜去して食べることができれば理想的ですが、い…

ミニレクチャー No. 22 回復期リハ病棟での感染対策はどうすればよいか?

回復期リハ病棟での感染対策はどうすればよいか? 感染症が広がるには感染経路が必要です。逆に感染経路を遮断できれば、感染症が広がることはありません。最も確実な方法は感染患者を隔離することです。しかし、隔離し行動範囲を制限することは人権上の問題…

ミニレクチャー No. 21 良い回復期リハ病棟の条件とは?

良い回復期リハ病棟の条件とは? 回復期リハ病棟は、2016年3月1日の段階で日本に1725病棟あり、病床数は人口10万人あたり平均60床になっています。今や数の面では充実しつつあり、そこで行われているリハの質が問われてきます。 2010年の論文で、日本におけ…

ミニレクチャー No. 20 ICF その2

ICF その2 No. 6で紹介したICFについて、もうすこし詳しく説明します。 医療現場では、患者さんの病状を把握して、問題点を抽出し、その問題点に対するアプローチを計画・実行します。このアプローチ方法を「問題指向型システム Problem Oriented System : P…

ミニレクチャー No. 19 番外編:経験主義の落とし穴

番外編:経験主義の落とし穴 回復期リハ病棟とは直接の関係はありませんが、前回のレクチャーで紹介した岩田先生の本の中から、大切な話をします。 医療の世界では、経験をたくさん積むとえらくなる、デキるようになる、という経験主義が横行しています。こ…

ミニレクチャー No. 18 回復期リハでの医師の役割

回復期リハでの医師の役割 回復期リハ病棟での各職種の役割を説明した時に、医師について話すのを忘れてました。医師は、医師になって最初の2年間に、初期研修といって基本的な知識・経験を積む期間を過ごします。その後、将来の専門分野を決めて研修をつん…

ミニレクチャー No. 17 誤嚥性肺炎を予防するには?

誤嚥性肺炎を予防するには? 咽頭(のどの奥)から誤って気道にモノが入ることを「誤嚥」といいます。咽頭から誤って気道にモノが入り、そのモノに含まれていた細菌やその他の刺激物によって引き起こされる肺炎が「誤嚥性肺炎」です。実は健康な人も誤嚥します…

ミニレクチャー No. 16 その膀胱留置カテーテル、本当に必要?

その膀胱留置カテーテル、本当に必要? 膀胱留置カテーテルが挿入されたままの患者さんが時々います。急性期病院で挿入されたまま、転院後も留置された理由もわからないまま継続されていることがあります。ある病院でカテーテル抜去の取り組みを行ったところ…

ミニレクチャー No. 15 高齢者のせん妄にはどのように対処すればよいか?

高齢者のせん妄にはどのように対処すればよいか? せん妄は、入院中の高齢者でよく見られる一過性の意識の混乱した状態です。心臓の機能が低下した状態を心不全と言いますが、同じように、せん妄は脳の機能が低下した状態、脳不全の状態です。もともと心臓に…

ミニレクチャー No. 14 てんかん発作に出会ったらどうすればよいか?

てんかん発作に出会ったらどうすればよいか? 脳卒中や頭部外傷後の後遺症には様々なものがあります。麻痺や失語症、認知機能の低下など。てんかん発作も後遺症のひとつです。とくに、脳腫瘍やくも膜下出血、頭部外傷、皮質下出血、皮質を含む脳梗塞では、て…

離床の効果

以前簡単に紹介した論文の詳細です。 Use it or Lose it 専門家は経験と知識から、運動の効果と臥床の危険を知っていますが、一方で病気にかかったときには「ベッドで休むのが良い」という、考えから離れられずにいます。病人には休息が必要だ、という前提を…

ミニレクチャー No. 13 ユマニチュードについて

ユマニチュードについて 「全人的な医療・ケア」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。何となく意味はわかりますし、良さげなことを言っているということはわかります。しかし、それが具体的にどの様な医療・ケアなのかはっきりしません。 わか…