ミニレクチャー No. 21 良い回復期リハ病棟の条件とは?

良い回復期リハ病棟の条件とは?

 

回復期リハ病棟は、2016年3月1日の段階で日本に1725病棟あり、病床数は人口10万人あたり平均60床になっています。今や数の面では充実しつつあり、そこで行われているリハの質が問われてきます。

2010年の論文で、日本における回復期リハ病棟での、脳卒中患者に対するリハビリテーションの質を評価した研究があるので紹介します。この研究では、リハビリテーション患者データバンクというデータベースを利用して、12の病院の680人の患者情報を解析して、それぞれの病院ごとに、退院時のADL能力に差があるのか、またその差を生み出した要因は何なのかについて分析しています。

結果は、入院時の患者さんの状態はどの病院も同じであったにもかかわらず、結果には病院によって大きな差がみられました。結果の違いに影響を与えた要因は以下の通りです:

  • リハを専門とする医師の存在
  • カンファレンスの開催頻度
  • 1日の運動量
  • セラピストのいない時間の自主トレーニン
  • 病棟でのトレーニン 

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診療報酬上も、回復期リハ病棟では様々な数値目標(FIMの改善率や在宅復帰率)や条件設定(重症患者の割合など)がなされて、それらの数値を達成しないと、診療報酬が減るという仕組みで動いています。つまり、医療の質が、病院の収入に関わってくるわけです。

参考文献:Jeong S, Kondo K, Shiraishi N, Inoue Y:An evaluation of the quality of post-stroke rehabilitation in Japan. Clinical Audit 2010;2:59-66