論文紹介

論文紹介:New horizons in multimorbidity in older adults

New horizons in multimorbidity in older adults Alison J Yamall et al. Age Aging. 2017 Nov; 46(6): 882-888. マルチモビディティ(多疾患併存状態)という概念が最近注目を集めており、最近、英国国立医療技術評価機構(NICE)がマルチモビディティに関する…

高齢者総合機能評価

Up to Dateという様々なトピックについて最新の論文をもとにまとめたサイトの高齢者総合機能評価の項のほぼ全訳です。 はじめに 高齢者の機能障害や認知症は、ともすると見逃され十分な対処がなされないことが少なくありません。しっかり評価して状態を把握…

脳卒中患者の歩行能力の正確な予測は、脳卒中後72時間以内に可能か?

Is Accurate Prediction of Gait in Nonambulatory Stroke Patients Possible Within 72 Hours Poststroke? The EPOS Study 脳卒中患者の歩行能力の正確な予測は、脳卒中後72時間以内に可能か? J. M. Veerbeek, MSc, E. E. H. Van Wegen, PhD, B. C. Harmel…

No. 164 新型コロナウィルス感染症に備える

以下の論文の(ほぼ)全訳です。 How Should the Rehabilitation Community Prepare for 2019-nCoV? Gerald Choon-Huat Koh, PhD, Helen Hoenig, MD https://doi.org/10.1016/j.apmr.2020.03.003 ARCHIVES OF PHYSICAL MEDICINE AND REHABILITATION 2019-nCoV…

Hip Fractures in Older Adults in 2019

Hip Fractures in Older Adults in 2019 JAMA. 2019;321(22):2231-2232. doi:10.1001/jama.2019.5453 骨粗鬆症による脆弱性骨折の発生率は加齢と共に指数関数的に増加し、その結果、機能低下や施設入所、死亡、困窮などの悲惨な結果へとつながります。 80~9…

誤嚥性肺炎 NEJMの総説 2019.2

誤嚥性肺炎 NEJMの総説 2019.2 NEJMに2019年2月に掲載された誤嚥性肺炎に関する総説です。最新の知見がまとめられています。とくに肺炎が起こる仕組みについて、いままでとは異なる考え方が述べられています。誤嚥性肺炎は、独立したひとつの疾患というより…

No. 122 バランストレーニングが記憶力や空間認知能力を改善する

バランストレーニングが記憶力や空間認知能力を改善する Rogge, AK, et al. “Balance Training Improves Memory and Spatial Cognition in Healthy Adults.” Scientific Reports 7, no. 1 (Dec 2017). https://doi.org/10.1038/s41598-017-06071-9. 運動が認…

No. 116 脳卒中患者でのイメージトレーニングの効果

脳卒中患者でのイメージトレーニングの効果 イメージトレーニングは、プロスポーツ選手の間では普通にトレーニングに取り入れられています。イメージトレーニングが脳卒中後の上肢機能の改善にも有効かどうか検証した論文を紹介します。 Motor imagery train…

No. 114 反復練習が脳卒中後の筋力におよぼす影響

反復練習が脳卒中後の筋力におよぼす影響 脳卒中によって麻痺が起こると手足が動かしづらくなります。その麻痺がどの程度の麻痺かを表現する方法として、複雑な動きがどの程度できるのかという観点から点数をつける評価方法と、単純に筋力で評価するという方…

No.112 不明熱(FUO)

以下は、Harold W. Horowitz : PERSPECTIVE; Fever of Unknown Origins or Fever of Too Many Origins? NEJM. JAN 17, 2013.の要約です。 不明熱(FUO : Fever of Unknown Origin)とは、38.3 ℃を超える発熱が3週間持続しているにもかかわらず、入院しての1週…

No. 110 脳卒中患者にも筋トレは有効

脳卒中患者にも筋トレは有効 リハ業界では過去にさんざん議論になった問題のひとつに「努力を要する活動や筋トレは、脳卒中片麻痺患者に有益か?それとも痙性を増強してしまい有害か?」というものがありました。これについては「筋トレは脳卒中片麻痺患者の…

No. 108 脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練

脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練 毎日行っている病棟での立ち上がり訓練、回復期リハ病棟では多くのところで行われています。せっかくやるならより効果的な方法で行いましょう。今回紹介する論文は、脳卒中後の片麻痺のある患者さんを対…

ミニレクチャー No. 106 心肺機能は鍛えるほど長生きできる?

心肺機能は鍛えるほど長生きできる? Association of Cardiorespiratory Fitness With Long-term Mortality Among Adults Undergoing Exercise Treadmill Testing Kyle Mandsager, MD; Serge Harb, MD; Paul Cremer, MD; Dermot Phelan, MD, PhD; Steven E. …

ミニレクチャー No. 105 比較的徐脈とは?

比較的徐脈とは? 38.3度よりも高い発熱があると、心拍数は1度上がるにつれて8~10回/分増える。これは1800年代にCarl von Liebermeisterによって発見されたのでLiebermeisterの法則という。38.3度以上の発熱があるにもかかわらずこの法則通りの心拍数の上昇…

No. 91 脊髄損傷 その4:再び歩けるようになる?

脊髄損傷 その4:再び歩けるようになる? 脊髄損傷の患者さんの多くは、下半身の麻痺が残り車椅子の生活となります。現代医学では損傷した脊髄を修復する方法はありません。受傷後半年も経てば自然治癒による改善もなくなり、その段階で歩けない人は、その後…

ミニレクチャー No. 89 大腿骨頚部骨折の手術は早めに

大腿骨頚部骨折の手術は早めに 高齢者では、転倒して大腿骨頚部骨折をおこすひとがたくさんいます。回復期リハ病棟に入院している患者さんでも、あってほしくはないですが、転倒してしまい不幸にも大腿骨頚部を骨折してしまう場合があります。こんな時は、手…

エクセルで出来る生物統計

Biology statistics made simple using Excel Neil Millar School Science Review, 2001,83 統計は難しい。その公式は複雑で、計算は煩雑で、表もややこしい。しかし実際には生物学者や統計学者はそのような計算式や表は使わず、統計ソフトを用います。でも…

ミニレクチャー No. 21 良い回復期リハ病棟の条件とは?

良い回復期リハ病棟の条件とは? 回復期リハ病棟は、2016年3月1日の段階で日本に1725病棟あり、病床数は人口10万人あたり平均60床になっています。今や数の面では充実しつつあり、そこで行われているリハの質が問われてきます。 2010年の論文で、日本におけ…

離床の効果

以前簡単に紹介した論文の詳細です。 Use it or Lose it 専門家は経験と知識から、運動の効果と臥床の危険を知っていますが、一方で病気にかかったときには「ベッドで休むのが良い」という、考えから離れられずにいます。病人には休息が必要だ、という前提を…

脳卒中のリハビリテーション NEJMのレビュー

やや古いですが、2005年のThe New England Journal of Medicine:NEJM(200年以上にわたる歴史を有し,世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌、医学界のトップジャーナル)に脳卒中のリハに関する総説がありました。リハ関連雑誌でない、一般内科的な視点か…