脳卒中患者の歩行能力の正確な予測は、脳卒中後72時間以内に可能か?

Is Accurate Prediction of Gait in Nonambulatory Stroke Patients Possible Within 72 Hours Poststroke? The EPOS Study

脳卒中患者の歩行能力の正確な予測は、脳卒中72時間以内に可能か?

J. M. Veerbeek, MSc, E. E. H. Van Wegen, PhD, B. C. Harmeling–Van der Wel, PT, and G. Kwakkel, PhD, for the EPOS Investigators

Neurorehabilitation and Neural Repair 25(3) 268–274, 2011

Abstract

Background. Early prognosis, adequate goal setting, and referral are important for stroke management.

Objective. To investigate if independent gait 6 months poststroke can be accurately predicted within the first 72 hours poststroke, based on simple clinical bedside tests. Reassessment on days 5 and 9 was used to check whether accuracy changed over time.

Methods. In 154 first-ever ischemic stroke patients unable to walk independently, 19 demographic and clinical variables were assessed within 72 hours and again on days 5 and 9 poststroke. Multivariable logistic modeling was applied to identify early prognostic factors for regaining independent gait, defined as ≥4 points on the Functional Ambulation Categories.

Results. Multivariable modeling showed that patients with an independent sitting balance (Trunk Control Test–sitting; 30 seconds) and strength of the hemiparetic leg (Motricity Index leg; eg, visible contraction for all 3 items, or movement against resistance but weaker for 1 item) on day 2 poststroke had a 98% probability of achieving independent gait at 6 months. Absence of these features in the first 72 hours was associated with a probability of 27%, declining to 10% by day 9.

Conclusions. Accurate prediction of independent gait performance can be made soon after stroke, using 2 simple bedside tests: “sitting balance” and “strength of the hemiparetic leg.” This knowledge is useful for making early clinical decisions regarding treatment goals and discharge planning at hospital stroke units. 

 

背景:脳卒中管理には、早期の予後予測に基づく適切な目標設定と紹介が重要です。

目的:単純な臨床でのテストに基づいて、脳卒中6か月時点での歩行自立度を、脳卒中72時間以内に正確に予測できるかどうかを検証します。また、5日目と9日目に再評価を行って、時間経過とともに精度が変化したかどうかを確認しました。

方法:自立して歩くことができない初発の虚血性脳卒中患者154人について、19個の人口統計学的および臨床的変数を72時間以内に評価し、5日目と9日目にも再評価しました。多変数ロジスティックモデリングを用いて、自立歩行獲得を初期に予測する因子を特定しました。自立歩行はFunctional Ambulation Categories4点以上と定義しました。

Functional Ambulation Categories; FAC

評価方法:15m程度の歩行路や階段を使用し動作観察から以下の6段階に分類します。補装具の使用の有無は問いませんが、FACを使用している研究論文によっては歩行器や車輪付きの歩行補助具の使用は認めていない場合があります。

0 歩行不能:歩行困難、または平行棒内のみ歩行可能だが、平行棒外を安全に歩くために2人以上の介助が必要。

1 介助歩行レベル2:平地歩行において転倒予防のために1人の介助が必要。介助は持続的で、バランス保持、動作の手助けに加えて体重を支える必要がある。

2 介助歩行レベル1:平地歩行において転倒予防のために1人の介助が必要。介助はバランス保持、動作の手助けのための持続的、または断続的で触れる程度の介助。

3 監視歩行:介助なしに平地歩行が可能だが、判断能力の低下や心機能の問題、動作遂行のために口頭指示が必要といった理由から、安全のために1人の近位監視が必要。

4 平地歩行自立:平地では自立して歩行が可能だが、階段や斜面、不整地では口頭指示や介助が必要。

5 歩行自立:平地や不整地、階段、斜面を問わず、自立して歩行が可能。

 

結果:多変量モデリングによると、発症後2日目までに、一人で座れるバランス能力(体幹コントロールテスト-坐位が30)と麻痺側下肢の強さ(Motricity Indexの下肢;股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の3つの項目すべてで目に見える収縮がある、または、1つの項目で弱いながらも抵抗に抗して動く)を示す場合は、6か月で歩行自立を達成する確率は98%でした。最初の72時間にこれらの機能がないと、歩行自立の確率は27%になり、9日目になってもできない場合は10%にまで減少しました。

結論:「坐位バランス」と「麻痺側下肢の強さ」という2つの簡単なベッドサイドでのテストを使用して、脳卒中直後に歩行自立を正確に予測できます。この知識は、病院の脳卒中ユニットでの治療目標と退院計画に関する早期の臨床的決定を行うのに役立ちます。

はじめに 

自立した歩行を取り戻すことは、脳卒中リハビリテーションの主要な目標と考えられています。いくつかの前向きコホート研究では、脳卒中患者の約60%~80%が脳卒中6か月で自立して歩くことができることが示されています。 早期に歩行が自立するかどうか予測することは、脳卒中マネジメントにとって最も重要です。歩行が自立するかどうかの予測ができれば以下のことにつながります;

(a)適切な退院計画を早期から開始できるようになる

(b)患者とその家族に対して的確な情報提供ができる

(c)現実的で複合的な治療のゴール設定が可能になる

(d)家屋改修や地域社会でのサポートの必要性などを予想できる

多くの予後研究によると、年齢、麻痺側下肢の感覚および運動機能障害の重症度、同名半盲、尿失禁、坐位バランス、初期のADLおよび歩行の障害、入院時の意識レベル、脳卒中発症から最初の評価までの日数が、脳卒中から6か月後の歩行能力に独立して関連する因子として挙げられています。

残念ながら、これらの予後予測研究の結果を単純に比較することは困難です。なぜなら、患者の特性、回帰モデリング用に選択された候補決定要因、使用された測定機器、歩行の定義、評価のタイミングなどが異なるからです。脳卒中後早期の神経学的な自然回復は、発症からの時間に依存する重要な交絡因子であるため、いつ評価するかが歩行の予後予測精度に影響を与えます。つまり、歩行自立に関連すると考えれる所見、例えば失禁、座位バランス、麻痺の重症度などは、リハビリテーション病棟への入院時などの決まっていないタイミングで評価するのではなく、脳卒中後のある一定のタイミングで測定する必要があることを示唆しています。

本研究の主たる目的は、病院の脳卒中ユニットにおける初期目標設定と紹介方針を適切に行うために、脳卒中6か月の歩行自立が最初の72時間以内に正確に予測できるかどうかを調査することです。2つ目の目的は、脳卒中6か月での自立歩行の回復に関する結果予測の精度に対する、5日目と9日目の早期再評価の影響を調査することです。

対象と方法

研究デザイン

EPOSスタディ(Early Prediction of Functional Outcome after Stroke)は、脳卒中後の最初の2週間の集中的な反復測定を行う前向きコホート研究です。患者はオランダの9つの病院の脳卒中病棟から募集されました。評価は72時間以内、脳卒中5日目と9日目に行われました。3日ごとの評価を行ったのは、脳卒中ユニットの患者では、通常、毎日のリハプログラムのなかで評価を行いますが、過去の研究ではこの日々の変化についてあまり考慮されていなかったからです。脳卒中後早期には非線形に回復することや、急性期病院脳卒中ユニットから他のケア施設へ早期に退院する方針であることが多いのを考慮して、脳卒中9日までの決定要因候補の再評価に限定しました。最終結果は、脳卒中6か月で測定しました。すべての評価は、参加している各脳卒中ユニットの訓練を受けた理学療法士によって行われ、患者はオランダの理学療法ガイドラインに従って理学療法を受けました。EPOSの研究は参加病院の倫理委員会によって承認されました。

対象

脳卒中の定義はWHOの基準に従いました。脳卒中のサブタイプや、梗塞のサイズと部位の記録はバンフォード分類に基づいて行いました。 

 

以下の基準を満たした患者を対象としました:

a)初回発症の前方循環の虚血性脳卒中

brTPA治療後であっても、脳卒中72時間以内に片麻痺がある

c)病前には機能障害がない(罹患前のバーセルインデックスが19以上)

d18歳以上

e)コミュニケーション、記憶、理解に重い障害がない

f72時間以内に自立して歩くことができない(FAC<4)

g)書面によるインフォームドコンセントがなされている

 

従属変数

結果の変数はFACによって測定した自立歩行です。FACは、脳卒中後に安全に歩行するために患者が必要とする身体的サポートのレベルを分類するための信頼できる有効なツールであり、「非機能的歩行」(0)から、「平地や階段や傾斜などの平らでない面でも自立して歩行できる」(5)までの6つのレベルで構成されています。本研究では、FACスコアを0(介助歩行、FAC<4)1(自立歩行、FAC≥4)に二分しました。

独立変数

予測モデルの開発には19個の変数を用いました:

性別、年齢、BMI、社会的支援、併存症(Cumulative Illness Rating Scale)脳卒中の半球、脳卒中発症から最初の評価までの日数、脳卒中の種類(バンフォード分類)、尿失禁(Barthel Index)、坐位バランス(体幹コントロールテスト項目3 [TCT-s]30秒間支持なしで座れる)、麻痺側上肢筋力(Motricity Index)、麻痺側下肢筋力(Motricity Index)、上肢の共同運動(Fugl-Meyer)、下肢の共同運動(Fugl-Meyer)5つの神経機能:発症時の意識(NIHSS1A)、消去現象と注意障害(NIHSS11)、半盲(NIHSS3)共同偏視(NIHSS2)、感覚障害(NIHSS8)

 

 

データ分析

ベースラインと6か月後の評価を受けた被験者のみを統計分析に含めました。ベースラインの人口統計、脳卒中の特徴、脳卒中によって引き起こされた障害の重症度を記録しました。決定因子は、臨床的根拠に基づいて01の値をとるものが好ましいです。そうでない項目の最適なカットオフポイントは、ROC曲線の特性分析を適用することによって決定しました。各カットオフスコアの感度/(1-特異度)AUCを使用して、最適な二分法を推定し個々の変数ごとに推定しました。5日目または9日目に欠損値があった場合、最後の値を繰り越しました。

その後、2変数ロジスティック回帰分析を用いて、各変数の95%信頼区間(95CI)でオッズ比(OR)を計算し、6か月時点でのFACスコアに関連する統計的に有意な決定要因を特定しました。脱落バイアスを防止するために、p≤0.10のリベラルな有意水準を持つ要因をさらなる分析のために選択しました。相関係数0.70以上の場合、さらに多変量解析を行うために決定要因の1つを選択しました。

候補となった要因を、順方向の多変数ロジスティック回帰分析に使用しました。脳卒中6か月に自立した歩行を予測する確率は、次の方程式に含まれる定数と回帰係数を使用して、多変数モデルから計算しました。

P = 1/(1 + (exp[−(β0 + β1X1 + β2X2 + β3X3 + . . . + βnXn)]))

最後に、感度、特異度、陽性予測値(PPV)と陰性予測値(NPV)を計算するために、2分割表を使用しました。統計はSPSSバージョン15を使用して実行されました。

結果

20072月から200911月の間に221人の患者が参加しました。35人の患者は、死亡(N=21)、離脱(N=3)脳卒中再発(N=5)、転院・その他(N=2)の理由により、フォローアップに失敗しました。別の32人は、72時間以内に歩行自立を達成したため分析から除外しました。したがって、合計154人の患者を分析の対象としました。患者の人口統計と関連する脳卒中の特徴を表1に示します。脳卒中6か月で、122人の患者(79)が自立して歩くことができました(FAC≥4)

独立変数と従属変数間の関連

2は、脳卒中発症後72時間以内の評価に関する2変数ロジスティック回帰分析によって決定された、6か月の自立歩行のORとその95CIを示しています。19の候補変数のうち、15脳卒中6か月の自立歩行の回復に有意に関連していました。共線性診断により、MIの下肢スコアとFMの下肢スコアの間に高いレベルの関連性があることが明らかになりました(r=0.81p=0.01)MI上肢スコアはFM上肢スコアと強く関連していました(r=0.84p=0.01)。臨床的利便性からMIスコアの方を回帰モデリングに選択しました。

1. 脳卒中72時間以内に測定された患者の特徴

Abbreviations: SD, standard deviation; BMI, body mass index; rTPA, recombinant tissue plasminogen activator; LACI, lacunar infarcts; PACI, partial anterior circulation infarcts; TACI, total anterior circulation infarcts; MI, Motricity Index; FM, Fugl-Meyer test; TCT, Trunk Control Test; BBS, Berg Balance Scale; FAC, Functional Ambulation Categories; BI, Barthel Index. 

aMissing value(s).
bCumulative Illness Rating Scale (yes > 0, no = 0). cMedian values (interquartile ranges).
dYes ≤ 1, no = 2. 

2. 二変数ロジスティック回帰分析によって同定された脳卒中6ヶ月目の自立歩行に関連した72時間以内に評価された機能障害や能力障害(N=154) 

Abbreviations: CI, confidence interval; BMI, body mass index; TACI, total anterior circulation infarcts; PACI, partial anterior circulation infarcts; LACI, lacunar infarcts; BI, Barthel Index; TCT-s, Trunk Control Test sitting balance; MI leg, Motricity Index lower extremity; MI arm, Motricity Index upper extremity; FM leg, Fugl-Meyer test lower extremity; FM arm, Fugl-Meyer test upper extremity.
aCutoff points are based on clinical grounds.

bCutoff points are based on analysis of receiver–operating characteristic curves. cCumulative Illness Rating Scale (yes > 0; no = 0).
dItem of the National Institutes of Health Stroke Scale. 

3. 脳卒中6ヶ月で歩行自立を達成する確率(N=154)

Abbreviations: FAC, Functional Ambulation Categories; TCT-s, Trunk Control Test sitting balance; MI leg, Motricity Index, lower extremity.

多変数モデリング 

3は、予測モデルに含まれる変数と、脳卒中6か月の自立歩行を達成する確率を示しています。多変量回帰分析で15の重要な候補決定要因すべてを同時にテストすると、TCT座位バランスとMI下肢スコアという2つの重要な変数を含む最終モデルが得られました。回帰係数と定数に基づいて、72時間以内に、患者の最大TCT-sスコアが25(つまり30秒間の座位が自立)MI下肢スコアが25以上(股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の3つの項目すべてで目に見える収縮がある、または、1つの項目で弱いながらも抵抗に抗して動く)の場合、自立歩行が達成される最大確率は98%と推定されました。72時間以内にこのレベルに達しなかった患者では27%でした。これらの確率の時間依存性の分析によると、前者では、確率が5日目と9日目でほぼ同じままであったのに対し、後者では、自立歩行を達成する確率が5日目には23%9日目には10%まで減少しました。

感度は2日目の0.93(95CI = 0.86-0.96)から9日目の0.94(95CI = 0.87-0.97)の範囲で、特異度は5日目0.63(95CI = 0.43- 0.78)から9日目の0.83(95CI = 0.64-0.93)でした。PPV2日目の0.93(95CI = 0.85-0.96)から9日目には0.96(95CI = 0.90-0.98)に変化しました。NPV5日目の0.63(95CI = 0.57-0.82)から9日目の0.75(95CI = 0.56-0.88)に変化しました。

考察

我々の知る限りでは、これは歩行不能脳卒中患者を発症後72時間以内の評価で自立歩行を予測する精度を前向きに調査した最初の研究です。本研究は、72時間以内の正確な予測が、2つの簡単なベッドサイドテスト(座位バランスと麻痺した脚の筋力)によって病院の脳卒中ユニットで達成できることを示しました。脳卒中後の最初の72時間以内に坐位バランスを取り戻し、股関節、膝、足関節の自発的な動きを発達させた患者は6か月以内に独立した歩行を取り戻す確率が98%であることがわかりました。対照的に、72時間以内に30秒間自立して座ることができず、麻痺した下肢の筋を収縮できなかった患者は、自立した歩行を達成する確率が約27%でした。5日目と9日目の座っているバランスと下肢の筋力の早期の再評価は、座っている能力と下肢の筋力が回復しなかった場合、独立歩行を回復する確率が5日目で23%、9日目には10%に低下したことを示しました。

この結果は、脳卒中後の自立歩行の有用な予測を可能にし、臨床医が脳卒中ユニットからの退院指針を改善し、脳卒中後のクリニカルパスにおけるケアプロセスの標準化をサポートするために重要です。脳卒中後の転帰の早期予測に関するこれらの所見は、病院の脳卒中病棟での滞在期間の短縮に利用でき、リハビリテーションの介入の調整に役立つ可能性があります。

72時間以内の予測の正確さを調査する研究がないため、私たちの調査結果を他の調査結果と比較することは困難です。ただし、多くの前向き研究では、脳卒中24週間目に測定した麻痺側下肢の筋力と座位バランスが、歩行能力の改善と6か月目の自立歩行の達成に有意に関連していることが示されています。明らかに、立位バランスと歩行を回復するための前提条件としての坐位バランスの早期獲得は、6か月後の最終結果の重要な要素と言えます。歩行のバランス制御の重要性は、コーレンらによる研究によってもサポートされています。彼らはFACで測定された歩行パフォーマンスの改善に関連する最も重要な変数は立位バランスの改善であることを示しました。

2日以内の評価による、偽陽性の割合(≈7)偽陰性の割合(≈27)よりも明らかに小さかったため、本研究でのモデルはやや悲観的であり、最初は坐位が不良で下肢の麻痺が重度な一部の患者も、自立した歩行を取り戻す可能性があります。時間の経過とともに予測の精度が高まることは、脳卒中後の機能乖離(diaschisis)など、根本的な内因性神経メカニズムを反映している可能性があります。このメカニズムは今回検証した時間枠内には完了しているため、本モデルの2つの変数に基づく予測の精度は、これ以上に向上させることは事実上不可能です。たとえば、私たちのモデルでは、代償手段を使用する患者の能力の有無を考慮に入れていません。これは、歩行回復が代償手段の使用を学習することと密接に関連していることを示す最近縦断的に行われた多くの研究によって裏付けられています。たとえば、患者は重心を非麻痺側にシフトすることでバランスを保つことを学びますが、麻痺側の運動制御能力に大きな変化はほとんどありません。明らかに患者は既存の神経障害に対処することを学ぶことで歩行機能を回復させています。

今後の研究では、病院の脳卒中ユニットでの臨床評価の最適なタイミングを調査するだけでなく、脳卒中初期の回復過程に関する知見得る必要があります。そのためには、コホート研究は集中的な反復測定デザインを使用する必要があります。これにより、臨床医は、協調性や代償手段の獲得と歩行能力改善との関連についての理解が深まります。さらには、運動学的および筋電図測定などを含めることがより好ましいです。同時に、fMRIなどの神経画像技術を追加して、歩行の回復に伴う神経生理学的メカニズムに関する知識を増やす必要があります。

本研究における制限は、初発の前方循環脳卒中に制限したこと、交絡因子に関する検証がなされていないことなどがあります。さらに、抑うつや不安などのいくつかの認知的および精神的障害が回復に及ぼす影響は、自立歩行に悪影響を与える可能性がありますが、本研究では扱われていません。最後に、歩行機能の回復は主に脳卒中6か月以内に生じますが、患者の約10%は、6か月後も依然として重要な機能変化を示しています。したがって、最初の6か月以内に歩行できない患者でも、その後も歩けないままであるとは限りません。

結論として、「座位バランス」と「麻痺側下肢の強さ」の2つの簡単なテストは、両方のテストで陽性の患者の6か月後の歩行能力の回復を脳卒中2日以内に早期かつ正確に予測します。予後不良の患者は、予測の精度を向上させるために、9日目にこれら2つのテストで再評価する必要があります。