2019-01-01から1年間の記事一覧

Hip Fractures in Older Adults in 2019

Hip Fractures in Older Adults in 2019 JAMA. 2019;321(22):2231-2232. doi:10.1001/jama.2019.5453 骨粗鬆症による脆弱性骨折の発生率は加齢と共に指数関数的に増加し、その結果、機能低下や施設入所、死亡、困窮などの悲惨な結果へとつながります。 80~9…

No. 156 リウマチ性多発筋痛症 Polymyalgia rheumatica (PMR)

リウマチ性多発筋痛症 Polymyalgia rheumatica (PMR) リウマチ性多発筋痛症PMRは慢性の炎症性疾患で、くびや肩、おしりの筋肉に痛みが生じ、その周辺の関節のこわばりを特徴とします。PMRの原因はわかっていませんが、冬に発症することが多く、何らかの感染…

No. 155 長谷川式簡易知能評価スケール

長谷川式簡易知能評価スケール 医療従事者であればほとんどの人が「長谷川式簡易知能評価スケール」を知っていると思います。1974年に作成され、1991年に採点基準を見直された改訂版「HDS-R」が現在は広く使われています。9項目30点満点の検査で短時間で認知…

No. 154 DIBキャップについて

DIBキャップについて 排尿障害がある場合、膀胱留置バルーンカテーテルを使用することはなるべく避けて、間欠導尿で自尿を促すことが大原則でした(No. 133参照)。実際に大半の人が膀胱留置バルーカテーテルから離脱することができます。しかし少数ですが自尿…

誤嚥性肺炎 NEJMの総説 2019.2

誤嚥性肺炎 NEJMの総説 2019.2 NEJMに2019年2月に掲載された誤嚥性肺炎に関する総説です。最新の知見がまとめられています。とくに肺炎が起こる仕組みについて、いままでとは異なる考え方が述べられています。誤嚥性肺炎は、独立したひとつの疾患というより…

No. 152 薬剤による認知機能障害

薬剤による認知機能障害 加齢とともに複数の疾患を患い多数の薬を飲むことになり、さらに薬物代謝能力が低下することで、薬の作用が増強されやすくなり、様々な影響があらわれます。このような状態を「薬剤起因性老年症候群」といい、ふらつき、転倒、食欲低…

No. 151 口腔咽頭の加齢変化とその対応

口腔咽頭の加齢変化とその対応 加齢に伴う口腔咽頭の変化として代表的なものに喉頭の下垂があります。喉頭の下垂によって舌骨も下垂し、その結果、舌根も下方へと引き下げられます。この変化は男性においてより顕著で、舌骨上筋群が喉頭の重みを支えることが…

No. 150 回復期リハビリテーション病棟協会 第33回研究大会 in 舞浜・千葉 まとめ

2019年2月21日と22日に開催された回復期リハビリテーション病棟協会 第33回研究大会へ参加しました。ディズニーリゾートのホテルや映画館、近隣の総合体育館を利用した豪華な学会でした。頭にネズミの耳のついた人々に混じってスーツ姿の人々がいるという何…

医療面接の注意点

医療面接の注意点 回復期リハ病棟では患者さんやその家族と話し合いの場を持つことが多々あります。そんな時に普段スタッフ同士でミーティングする様な話し方をしては、患者さんや家族には理解できません。医療従事者の常識は世間の非常識です。そして、医療…

No. 148 大腿骨近位部骨折の非手術例

大腿骨近位部骨折の非手術例 No.75で大腿骨近位部骨折を受傷した人では死亡率があがるという話をしました。 uekent.hatenablog.com またNo.89で大腿骨近位部骨折の手術は早期に行った方が成績が良いという話をしました。 uekent.hatenablog.com 今回は大腿骨…

No. 147 失語症

失語症 失語症は脳の損傷によっておこる後天性のコミュニケーション障害のことで、ことばを書くことや話すこと、読んで、聞いて理解することができなくなります。原因疾患としては脳梗塞が最多で、他の原因には、脳出血や脳腫瘍、中枢神経系感染症などがあり…

No. 146 脳卒中後の復職について

脳卒中後の復職について 就労中の人が脳卒中を発症した場合、復職も回復期リハでの重要な目標のひとつになります。脳卒中が比較的軽症だと日常生活動作は早期に自立し、FIMが満点になることは容易かもしれません。しかし仕事に復帰するとなると、さらに複雑…

No. 145 鼻出血

鼻出血 60%の人が一生のうちに鼻出血を経験するとされており、そのうちの約6%が医療機関での治療を必要とするそうです。 鼻出血の80-90%は鼻中隔前方のキーゼルバッハ部位(図1)からの出血です。 その場合正しい圧迫を行えば止血することができます。鼻出血の…

No. 144 ボトックスについて

ボトックスについて 脳卒中後の片麻痺では、筋の緊張が亢進する「痙縮」とよばれる症状を起こすことがあります。上肢では関節を屈曲する筋の痙縮が強くなり腕が曲がったままになり、使えない、痛みがある、という状況になりやすく、下肢では関節が伸びる方向…

インフルエンザ予防は誤解だらけ

インフルエンザ予防は誤解だらけ 最大最強の方法はもちろん…… 岩田健太郎先生の記事です。前回のミニレクチャーの補足にどうぞ。 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181031-OYTET50006/

No. 143 インフルエンザ治療薬の予防投与について

インフルエンザ治療薬の予防投与について インフルエンザ流行シーズンにはいりました。抗ウィルス薬の予防投与に関するCDC(Centers for Disease Control and Prevention)の推奨を要約したものを以下に掲載します。 そもそも予防投与よりも、年1回のインフル…

No. 142 高齢者の食欲不振

高齢者の食欲不振 食欲不振に対するアプローチの流れ 高齢者でのある程度の食欲低下は生理的な反応でもあります。食欲を引き起こす消化管ホルモンの分泌は低下し消化管運動は低下します。高齢者の摂取エネルギーは30代成人の1/3程度であったとの報告もありま…

No. 141 変形性膝関節症

変形性膝関節症 変形性関節症の診断基準には明確なものがありません。というのは、症状と画像所見が必ずしも一致しないことがあり、レントゲン上はわずかな変形なのに症状がひどかったり、逆にレントゲンでは重度の変形をみとめるにもかかわらず症状が軽かっ…

No. 140 脳梗塞のEarly CT signについて

脳梗塞のEarly CT signについて 脳梗塞は再発することがあります。発症1年目で5-10%の人が再発するとされており、回復期リハ病棟入院中にも再発する可能性があります。脳梗塞は早期発見が重要です。というのは、近年脳梗塞の治療に劇的な変化が起こっている…

No. 139 鎖骨骨折のリハビリテーション

鎖骨骨折のリハビリテーション 鎖骨骨折は全骨折の10~15%を占める比較的多い骨折ですが、回復期リハ病棟入院適応疾患ではないため、鎖骨骨折のみで回復期病棟へ入院してくることはありません。多くは他の骨折や外傷を伴う多発外傷のなかのひとつとして治療…

No. 138 運動療法

No. 138 運動療法 筋線維の特徴 タイプI線維は「遅筋」とも呼ばれ非常に疲労しにくい濃い色をした線維(いわゆる「赤身の肉」であり、この色は血管が豊富であることによります)であり、PAS染色ではミオシンATPアーゼが明るく染まります。タイプII線維は「白身…

No. 137 生涯学習のススメ

生涯学習のススメ 医学情報は日々どんどん増えています。医学情報の量が倍になるのにかかる時間は、1950年には50年だったものが、1980年には7年、来年の2020年には73日になると予想されています。全ての医学情報を覚えることは到底無理ですし、新しい情報を…