No. 137 生涯学習のススメ

生涯学習のススメ

 

学情報は日々どんどん増えています。医学情報の量が倍になるのにかかる時間は、1950年には50年だったものが、1980年には7年、来年の2020年には73日になると予想されています。全ての医学情報を覚えることは到底無理ですし、新しい情報を常に得ることだけでも大変です。それでも、現在の標準治療を知り、時代遅れでない治療を目の前の患者さんへ提供することは臨床家の義務です。その義務を果たすために、医療従事者は生涯学び続けることが必須です。

 

学習のスタイルとしては「臨床で疑問に思ったことを調べて勉強する」という方法があります。この方法では、学習したことがすぐに臨床に活かすことができるため、モチベーションを高く保ちやすく、記憶にも残りやすいです。この学習のためには、調べるためのスキル、例えば論文を検索して、ほしい論文にたどりつく、見つけた論文の内容を批判的に吟味して理解する、などの能力が必要で、さらに最新の情報はほとんどが英語で書かれるので英語力も必要です。

 

ただし、上記の学習スタイルだけでは臨床で遭遇しない疾患や、経験しない治療については勉強しないため、知識に偏りが生じるので、系統立った学習によって自身の専門領域とその周辺の最新のトピックや基礎を知っておく必要があります。そのためには、その道で最も信頼のある教科書を読むこと、自身の専門の雑誌を読むことなどを続けることが重要です。また最新の論文に目を通すために、様々なサービスを利用するのも効率的です。

 

私は以前からEvidence Up DateやNEJM Journal Watchという文献紹介サービスを利用していました。これらは、自分の興味関心のある医学分野を登録しておくと、それに関する論文が発表された時にメールで知らせてくれるものです。

 

同様のサービスでリハに特化したものもあります。REHAB+(https://plus.mcmaster.ca/rehab/)というサービスです。事前に登録しておいた興味のある分野について新規の論文が発表されればメールで通知してくれます。論文全文が読めるかどうかはその雑誌次第で、リハの雑誌はオープンアクセスのものは少なく、読めてもアブストラクトだけになってしまうことが多いのですが大まかな内容を把握することはできます。

 

他には、SNSやブログなどの情報を活用したり、勉強会に参加したりすることも、広い知識を得るためには有効です。

 

いずれにせよ継続することが重要で、自分にとって負担なく続けられる方法を確立してみてください。

 

参考文献

総合診療 Vol.29 No.1, 2019. 医学書