2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 109 トラゾドン

トラゾドン 高齢者の不眠に対してベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使用することの危険性については「No.60 高齢者に睡眠薬は安全か?」で述べました。その時、トラゾドンという薬についても少し触れましたが、今回はこのトラゾドンについて掘り下げます。 トラ…

No. 108 脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練

脳卒中片麻痺患者にとってより効果的な立ち上がり訓練 毎日行っている病棟での立ち上がり訓練、回復期リハ病棟では多くのところで行われています。せっかくやるならより効果的な方法で行いましょう。今回紹介する論文は、脳卒中後の片麻痺のある患者さんを対…

No. 107 脊椎術後合併症

脊椎術後合併症 1.硬膜外血腫 概 要:硬膜外腔に血液が貯留して脊髄や馬尾・神経根を圧迫し、疼痛や麻痺を生じる 発症時期:術後2日以内が多いが、離床開始後に起こることもある 危険因子:抗血栓薬・抗凝固薬、広範囲の手術、内視鏡手術、高血圧、血液凝固…

ミニレクチャー No. 106 心肺機能は鍛えるほど長生きできる?

心肺機能は鍛えるほど長生きできる? Association of Cardiorespiratory Fitness With Long-term Mortality Among Adults Undergoing Exercise Treadmill Testing Kyle Mandsager, MD; Serge Harb, MD; Paul Cremer, MD; Dermot Phelan, MD, PhD; Steven E. …

ミニレクチャー No. 105 比較的徐脈とは?

比較的徐脈とは? 38.3度よりも高い発熱があると、心拍数は1度上がるにつれて8~10回/分増える。これは1800年代にCarl von Liebermeisterによって発見されたのでLiebermeisterの法則という。38.3度以上の発熱があるにもかかわらずこの法則通りの心拍数の上昇…

ミニレクチャー No. 104 下血について

下血について 肛門から血液が排泄されることを「下血」と言います。血液の出所は消化管の「どこか」である場合がほどんどですが、消化管のどの辺りからの出血なのかで、その後の対応が異なってきます。出血源を知ろうと思えば、内視鏡検査で実際に出血してい…

ミニレクチャー No. 103 脳梗塞の場所と麻痺の関係

市川 博雄:症状・経過観察に役立つ 脳卒中の画像のみかた, 医学書院, 2014.より引用

ミニレクチャー No. 102 巻き爪の対処法

巻き爪の対処方法 「巻き爪」、専門用語では「陥入爪」といいます。老若男女誰にでも起こります。原因はさまざまですが、高齢者の場合は十分に足のゆびに体重がかからないことが原因のひとつにあります。本来、足の爪は体重がかかることで平らになる方向に力…

ミニレクチャー No. 101 慢性硬膜下血腫は手術すべき?

慢性硬膜下血腫は手術すべき? 慢性硬膜下血腫は転倒して頭を打つなどの出来事からしばらくして(通常1~2ヶ月後)、頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血腫がたまる病気です。脳と硬膜をつなぐ静脈が破けることにより、髄液と血液の混ざった貯…

No. 100 「知っている」と思えばそこで進歩は止まる

「知っている」と思えばそこで進歩は止まる 4月の回復期リハ病棟開設に伴って始めたこのレクチャーもついに100回目を迎えました。あまりリハビリテーションらしくないことも含め、現場でその時必要な内容を書くようにしてきました。多くは本や論文の内容を引…

ミニレクチャー No. 99 敗血症について

敗血症について 入院中の患者さんは、肺炎や尿路感染症など様々な感染症を起こすことがあります。感染症が重症な場合には、感染した元の臓器のみならず、全身の臓器に致命的な障害を起こすことがあり、その状態を敗血症と言います。 この時の臓器障害を評価…

ミニレクチャー No. 98 スピーチカニューレについて

スピーチカニューレについて スピーチカニューレとは、スピーチバルブを装着した側孔のあるカニューレのことです。スピーチバルブにはフィルムが入っていて、バルブからは息は吸えますが、吐く息はバルブを通らずに側孔から声帯へと流れるため声が出せます。…

ミニレクチャー No. 97 Critical illness polyneuropathy and myopathyとは?

Critical illness polyneuropathy and myopathyとは? critical illness polyneuropathy and myopathy:CIP/Mとは、日本語にすると重症疾患多発神経障害および筋障害と言い換えれらます。ただニューロパチーやミオパチーは〇〇障害と訳すとややニュアンスが…

ミニレクチャー No. 96 感染対策:インフルエンザ予防接種の重要性

感染対策:インフルエンザ予防接種の重要性 インフルエンザシーズンが近づいてまいりました。毎年入院患者さんに流行して面会制限をする病院が必ずあります。流行を予防するための手段として予防接種がありますが、「インフルエンザの予防接種なんて効かない…

ミニレクチャー No. 95 脳梗塞の種類

脳梗塞の種類 脳梗塞は脳細胞への血流が途絶えたことによって、脳細胞が死んでしまうことで起こります。その原因によっていくつかに分けられます: 心原性脳塞栓症:心臓の中にできた血栓が脳動脈に流れて血管をつまらせたものです。心房細動によるものが最…

ミニレクチャー No. 94:頚椎症性脊髄症とは?

頚椎症性脊髄症とは? 頚椎症とは加齢によって頚椎が変形することが原因で症状が出る病気のことです。その結果として、頚髄が圧迫を受けている場合を「頚椎症性脊髄症」といいます。一方、神経根が通る椎間孔が狭くなって症状が出た場合を「頚椎症性神経根症…

ミニレクチャー No. 93 最適な回復期リハの在院期間は?

最適な回復期リハの在院期間は? 回復期リハ病棟は、入院の原因となった病気に応じて在院期間の上限が決められています(No.4参照)。しかし、これはあくまでも「上限」であって、実際の在院期間は個々の患者さんで異なり、機能を最大限まで回復し、退院後の生…