ミニレクチャー No. 98 スピーチカニューレについて

スピーチカニューレについて

 

スピーチカニューレとは、スピーチバルブを装着した側孔のあるカニューレのことです。スピーチバルブにはフィルムが入っていて、バルブからは息は吸えますが、吐く息はバルブを通らずに側孔から声帯へと流れるため声が出せます。通常は側孔からのみ息をはくのは狭くて苦しいため、カフの空気も抜いておきます。側孔の位置が気道上部に合っていなかったり、肉芽ができて側孔を塞いでしまうことがあり、ガーゼをカニューレと皮膚の間に挟んで位置調整する必要がある場合があります。 

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スピーチカニューレは生理的な呼吸+気管孔からの補助的な吸気の状態です。期間カニューレ装着中の患者さんは、可能ならばスピーチカニューレへ移行することが望ましいですが、上気道狭窄があったり、持続的な誤嚥のある場合、また十分な呼吸筋力がない状態では難しいです。 

 

スピーチカニューレよりさらに刺激の少ないものとしては、ボタン型カニューレ(レティナ)があります。嚥下も妨げにくく、スピーチバルブも装着できます。誤嚥がなく、吸引の頻度が少なくなれば使用可能です。ただし挿入にやや習熟が必要なことと、誤抜去が多いこと、気管内吸引を乱雑に行うと期間後壁を損傷しやすいなどの注意点があります。

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参考文献:

嚥下障害ポケットマニュアル 第4版、執筆 聖隷嚥下チーム、医歯薬出版株式会社、2018

図はKOKENのウェブサイトより