ミニレクチャー No. 94:頚椎症性脊髄症とは?

頚椎症性脊髄症とは? 

 

頚椎症とは加齢によって頚椎が変形することが原因で症状が出る病気のことです。その結果として、頚髄が圧迫を受けている場合を「頚椎症性脊髄症」といいます。一方、神経根が通る椎間孔が狭くなって症状が出た場合を「頚椎症性神経根症」といいます。

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症状は、頚椎症性脊髄症では、四肢(手だけではありません)のしびれ、歩行障害、頚肩腕痛、巧緻運動障害、四肢・体幹の感覚障害、四肢筋力低下、膀胱直腸障害が起こります。対して頚椎症性神経根症では、圧迫された側の上肢の痛みやしびれのみです。 

 

原因は、加齢とともに椎間板が後方へ膨隆したり、椎体に後方へ飛び出した骨棘が形成されたり、黄色靭帯が肥厚したり、椎間板が狭小化することで靭帯の弛緩や椎体のすべりが怒ったり、Dynamic canal stenosisという状態により、脊髄の収まっている空間が狭くなることで圧迫されて生じます。

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 根本的な治療は、脊髄に対する圧迫を取り除くための手術です。手術にはいくつかの方法があります。

 

頚椎前方除圧固定術

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前方から椎体、椎間板を切除して脊髄を除圧し切除部に椎体間固定を施す方法です。単椎体狭窄例、頚椎アライメント不良例が適応になります。術後は、過度な頚椎の動きは移植骨やケージのゆるみにつながりますので、術後の体位変換や体動時の首の動きに注意が必要です。座位は頚椎装具装着下であればいつでも可能で、立位歩行は術後2日から開始します。頚椎装具装着期間は、1椎間であれば4~6週、多椎間であれば8~12週程度です。術後嚥下障害が生じることがあるので評価が必要です。

 

頚椎後方除圧術(椎弓形成術):

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後方から椎弓を開き脊柱管を拡大する方法です。多椎体にわたる圧迫が適応となります。術後1~3日から頚椎カラーを着用して離床を開始します。後方支持組織に侵襲を加えるので、術後に首が下がった状態になってしまうことがあり、そうなると再狭窄を起こす可能性もあるので、姿勢指導や、伸展筋のトレーニングを行います。