No. 100 「知っている」と思えばそこで進歩は止まる

「知っている」と思えばそこで進歩は止まる

 

4月の回復期リハ病棟開設に伴って始めたこのレクチャーもついに100回目を迎えました。あまりリハビリテーションらしくないことも含め、現場でその時必要な内容を書くようにしてきました。多くは本や論文の内容を引用したもので、どれも特別なことを書いているわけではありません。原則としてA4の用紙1枚に収まる内容にしているので深い内容にもなっていません。願わくば、この内容をとっかかりにして自分自身で勉強していただければ幸いです。

 

このブログの機能にアクセス解析という機能があり、どの記事が一番読まれているかわかります。今までで一番読まれているのは、「エクセルで出来る生物統計」という記事です。英語の論文を訳して紹介しています。これも訳が正しくない可能性もあるので、ぜひ原著も読んでいただければと思います。

 

日々臨床で働いていて何かの疑問を持った時に、解決する方法はいくつかあります。先輩や同僚に聞く、教科書を調べる、論文を探して読む、自分で研究をして答えをみつける、などです。これらの方法を有効に使うためには、ちょっとしたコツや慣れが必要です。最新情報の大半は英語で書かれているため、英語が読めることも必要です。さらに研究しようと思えば、研究手法や統計についての勉強も必要です。今やネットやスマホなどを上手に利用すれば、忙しいなかでもその場で情報にアクセスすることができ、時間と労力の短縮になります。

 

しかし、最も重要なのは、そもそも自分は何を知っていて、何をしらないのか?ということに自覚的になることです。「知っている」と思えばそこで進歩は止まります(byルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン)。日々の臨床のなかで解決しない問題をリストアップする習慣をつけましょう。その場や、その日の夕方にその疑問について本やネットで調べてみて、答えがないならば、その疑問は研究の始まりかもしれません。これからも一緒に勉強して行きましょう。

 

このミニレクチャーはこれからも継続します。ただしもうすこしマニアックな内容や、完全に私の興味で取り上げた内容なども書く予定です。引き続きよろしくお願いします。

 

おすすめの本

 

福原 俊一:リサーチ・クエスチョンの作り方, 健康医療評価研究機構, 2008.・・・臨床疑問を研究へとつなげるための方法について書いてあります

 

名郷 直樹:名郷直樹のその場の1分、その日の5分 多忙な医師でもできるエビデンス仕入れ方, 日本医事新報社, 2015.・・・日々の仕事の合間に勉強する方法について書かれています

 

岩田 健太郎:Dr. イワケンのねころんで読める英語論文-ナース・研修医必見! 海外論文がすらすら読めるようになるヒケツ, メディカ出版, 2018.・・・英語論文の読み方について楽しく書いてあります