No. 154 DIBキャップについて

DIBキャップについて

 

排尿障害がある場合、膀胱留置バルーンカテーテルを使用することはなるべく避けて、間欠導尿で自尿を促すことが大原則でした(No. 133参照)。実際に大半の人が膀胱留置バルーカテーテルから離脱することができます。しかし少数ですが自尿がみられず離脱できない患者さんがいます。そんなとき間欠導尿の手技が患者さん自身で出来るようになれば良いですが、そうでなければ回復期リハ病棟入院中には間欠導尿を介助で行えても、退院後自宅や施設では再びバルーン留置に戻ってしまいます。

 

バルーン留置していると蓄尿袋がもれなく付いてきますが、見た目も良くないし、ある程度動ける患者さんにとってはこの蓄尿袋が行動の制限になってしまいます。こんな時に蓄尿袋のかわりにカテーテルにキャップをして、定期的にもしくは膀胱充満感を自覚した時にキャップを開けて排尿する、という方法がとられることがあります。そのための専用品が「DIBキャップ」という商品です。磁力を使った蓋がついており手指の機能が低下した高齢者でも比較的容易に開閉できるように作られています。

 

問題は「感染予防のためにバルーンカテーテルの内腔は外界とは隔てられた閉鎖空間にすべし」という今までの常識を無視していることです。現時点での排尿管理についてDynamedというエビデンスをまとめたサイトで調べてみましたが、そこでもやはり閉鎖空間を保つことが推奨されています。

 

しかしバルーン留置の状態が14日間続けば100%膀胱内には細菌が住み着きます。尿路への侵入はカテーテル外側の経路もあるため、いくらカテーテル内が閉鎖空間で無菌で使用開始したところで、長期使用していれば細菌は侵入することになります。

 

DIBキャップを使用することで蓄尿袋を使った場合よりも感染症の発症率が変わらないなら、ひとつの選択肢になりうるかもしれません。

 

調べ方が不十分だったかもしれませんが、このキャップを使用した場合の感染症発症率について検証した文献が見つかりませんでした。何か知っている方がいれば情報お待ちしております。 

 

参考

ディヴインターナショナル http://www.dib-cs.co.jp/urology/goods08/

小川隆敏:みなさんのギモンに専門の先生がズバリとお答えします, 泌尿器ケア10(4), 2005.