ミニレクチャー No. 26 カルテの書き方:SOAPの各項目には何を書けばよいか?

カルテの書き方:SOAPの各項目には何を書けばよいか?

カルテ記載は医療を行っていれば避けて通れない作業です。さらに電子カルテではそれぞれの職種の記載が一元化され、情報共有が容易になりました。記載方法もPOMR(Problem Oriented Medical Record)と呼ばれる、問題志向型の記載方法をほとんどの職種が用いています。具体的には「SOAP」という記載方法です。

SはSubjective data = 主観的データ、OはObjective data = 客観的データ、AはAssessment = データの解釈、PはPlan = 計画について記載します。そこまでは知っている人も多いと思いますが、実際のところ、SOAPの書き方について正式に教わったことのある人は少ないのではないでしょうか。よくある例としては、Sには患者さんが言ったことばそのままを記載して、Oに自分がみたことを書き、AとPはまとめてひとつの項目にして、おこなったことを書く、といったものがあります。

SOAPの各項目の記載内容は以下の通りです:

  • Sには、過去から現在に至るまでの、患者や家族や前医からの紹介状など、他人を通して収集した情報(=間接的に得た情報)を記載します
  • Oには、現時点で、自分自身や同僚が入手した直接観察による所見、診察や検査の所見を記載します
  • Aには、問題リストと、その分析の内容、そして方針を記載するのが一般的です。ただ、リハでは「問題リスト」という発想がICFの考え方(問題=マイナスの要素だけでなく、プラスの要素も抽出する)とそぐわない部分があるため、このAの記載は、ICFの分類に基づいた記載とその分析、方針を記載します。
  • Pには、アセスメントに基づいた今後のプランを記載します。このプランの中には、治療、リハ、検査、説明や教育、福祉サービス、退院調整など様々な項目が含まれます

同じ「型」に基づいて各職種が記載すれば、それぞれの視点や、考え方の違いがわかりやすくなって、自分ひとりでは気づかない問題点や、利点、プランが見えてくる可能性が高くなります。「そんなに丁寧に書いていたら、時間がいくらあっても足りない」と思うかもしれませんが、電子カルテならば、最も大変なAの項目は一度しっかり記載すれば、次の日からはコピペして、変化のあった部分を書き換えることで対応できます。アセスメントがしっかり書かれていれば、突然担当者以外のひとが見ても、患者さんの状態を把握することが容易です。さらに、退院時のサマリーの記載も容易になります。

 

最後に、当然のことなのですが、ともすると忘れてしまいがちなことがあります。それは、「カルテは患者さんのものである」ということです。患者さんが見ても診療の経過がわかるように記載しましょう。

 

参考文献:佐藤健太:「型」が身につくカルテの書き方 第1版, 医学書院, 2015.