ミニレクチャー No. 18 回復期リハでの医師の役割

回復期リハでの医師の役割

 

回復期リハ病棟での各職種の役割を説明した時に、医師について話すのを忘れてました。医師は、医師になって最初の2年間に、初期研修といって基本的な知識・経験を積む期間を過ごします。その後、将来の専門分野を決めて研修をつんで、◯◯専門医と呼ばれるようになるのが一般的です。〇〇専門といった時、多くの場合は人を構成する一部の臓器の専門であることが殆どです。心臓とか消化器とか、目とか耳とか。また治療に用いる手段で、内科・外科という分け方があるので、合わせて、循環器内科医とか心臓血管外科医とか呼ばれるスペシャリストになります。

 

一方で、近年「総合診療医」という医師が注目を集めています。某テレビ局の「ドクターG(ジェネラル)」という番組をみたことがある人もいるかもしれません。ひとつの臓器の病気だけではなく、患者をひとりの人間として、その人のもつ多岐にわたる問題に総合的に対応する医師です。

 

高齢者はひとつだけの病気を持っているということは滅多になく、多くの場合、たくさんの病気を抱えています。高齢社会では、この総合診療医=ジェネラリストの役割が大きくなっています。回復期リハ病棟に入院してくる患者さんも高齢者が多く、入院の原因となった病気の他にも複数の病気をもっているのが当たり前となっています。なので、回復期リハ病棟の医師には、ジェネラリストとして患者さんの様々な問題を管理することが役割のひとです。さらに、リハビリテーションに関する知識をもち、それぞれの患者さんのリハが効果的に行われるようにマネジメントすることも必要です。つまり、リハビリテーションの専門家=スペシャリストである必要もあります。

 

私が尊敬する医師のひとりに、同じ島根大学出身の岩田健太郎先生(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)という方がおられます。その岩田先生が週間医学界新聞で「ジェネシャリスト宣言」というシリーズの記事を連載されていました。

 

ージェネシャリストは幅の広いジェネラリストっぷりと,とんがったスペシャリストっぷりの両者を発揮する。通常は,ジェネラリストの訓練を受けた後,ある一領域の(人によっては複数領域の)スペシャリティの研鑽を受ける。こうして,横に広く,縦にとんがった三角形ができる。このような形がジェネシャリストの基本形だろう。ー(連載 第13回より)

 

この連載を読んだ時、リハ医はこの「ジェネシャリスト」そのものであると感じました。リハのスペシャリストでありつつ、さらに疾病の管理から退院後の生活まで広い領域をマネジメントする、横に半端なく広いジェネラリストです。深すぎて広すぎて医師一人では到底成し遂げることはできず、先に挙げた様々な職種の方との協力は不可欠です。

 

参考:ジェネシャリスト宣言:https://www.igaku-shoin.co.jp/paperSeriesDetail.do?id=151

*紙面の都合でごく一部しか載せてないので、興味のある方はぜひ連載全文を読んでみてください。