ミニレクチャー No. 43 脳卒中 その2 情報収集をしよう

脳卒中 その2 情報収集をしよう

 

病院で病気を診断したり治療したりするには、患者さんについての情報、病気についての情報を集めます。いわるゆる、主訴や現病歴、既往歴などの情報を収集してから診察や治療を行います。

 

リハビリテーションにおいても情報収集は重要です。特に脳卒中のリハを行うにあたっては、脳卒中という病気そのものに関する情報の他にも、患者さんの年齢や病前の生活状況(ADL能力やIADL能力)、合併症の有無、今回の脳卒中が初回なのか再発なのか、発症からどれくらい経過しているのかなど、様々な情報が、今後の方針を決定するために必要になります。

 

特に病前の能力がどの程度であったか、という情報は重要です。脳卒中になると、ほとんどの場合、どんなにリハを行なっても病前以上の能力を獲得することはできません。病前すでに介助が必要な状態の患者さんは、どうしても介助が以前よりも多く必要になります。何とか一人暮らしができていた、というひとはもはや元の生活には戻れないかもしれません。

 

また発症から回復期リハ病棟へ移ってくるまでの期間が長い患者さんは、急性期病院で何らかの合併症(多くは肺炎などの感染症)が起こって状態が悪くなったことによる期間の延長が多く、その間に十分なリハができていない場合は、脳卒中による障害に加えて、廃用症候群を合併してしまいます。すると、スタートラインが一歩後退することになり、どうしても到達目標を低くせざるを得なくなります。

 

年齢も基本中の基本ですが、大切な情報です。個人差はありますが、やはり若い人の方が回復します。80歳以上では最初の障害が重度な場合は、能力の向上があまり望めない場合が多いです。

 

他にも、家族構成や経済状況、住宅環境、仕事、趣味などさまざまな情報が必要になります。情報源は、前の病院からの診療情報提供書やサマリー、本人や家族の話など様々ですが、カルテに記載する場合は、どこから得た情報なのか、ということもあわせて記載しておくようにしましょう。