No. 128 点滴をとめるコツ
点滴をとめるコツ
回復期リハ病棟に入院中の患者さんでも点滴が必要になることがしばしばあります。全身状態が許せば点滴したままでもリハは可能な限り行わなければいけません。この時、点滴刺入部に負担がかからないように配慮し、「引っかかって点滴が抜けてしまった」なんてことにならないようにリハを行います。
それでも、安静に寝ていて点滴する場合に比べればリスクは高くなります。そこで点滴を固定する際にちょっとした工夫を行うことで、血管が破綻して刺し直しになったり、抜けたりする可能性を減らすことが大事になってきます。
まず、穿刺した後にチューブを固定する際には、チューブを全周性に固定します。しっかり固定しようと思って皮膚にべたっとテーブを貼ると、逆に固定力は落ちます。ちょうど断面が「Ω」の形になるようにチューブを取り囲んでテープを貼れば、横方向の動きに対しては余裕があり、引っ張り方向には、摩擦が強くなるので抜けにくくなります(図1)。
さらに、チューブと穿刺部との接続部を下に押すような形でテープを貼ると、刺入部に上方向の力がかかってしまい、カニューレが入っている血管の壁に無駄な力がかかり血管の壁が破れる原因になります。ここでもチューブを全周性に固定して、刺入した角度のままカニューレが固定できるように意識して止めると、血管の壁が破れて点滴が漏れる可能性を減らすことができます(図2)。
また、これは当たり前かもしれませんが、固定する際には、チューブが関節をまたぐ状態は避けましょう。関節運動につられて刺入部が動く可能性があります(図3)。
参考文献:大村和宏・川村哲也・武田聡 編集:専門医が教える研修医のための診療基本手技, 医学書院, 2018.