ミニレクチャー No. 38 伝達講習「サルコペニアの最新の話題と栄養」
伝達講習
6月16日に開催された 第28回 NSTを本音で語る会 での熊本リハビリテーション病院 吉村 芳弘 先生による特別公演「サルコペニアの最新の話題と栄養」、勉強になりました。公演のはじめに、吉村先生が「学習ピラミッド」について触れられ、講義形式の学習では記憶に残るのはわずか5%であることに言及されていました。
実際、このような研修会や学会に参加することは、学習の面では費用対効果が低く、私は参加することは少ないのですが、時々、自分の現在の課題にマッチした示唆を与えてくれる講演に出会うことがあります。今回もまさしくそれでした。記憶に残るのは5%程度かもしれませんが、モチベーションが上がる講演でした。
現在は、サルコペニアという概念が徐々に浸透しつつある過渡期にあり、その過程は過去に骨粗鬆症が老化によるものと認識されていた時期から、病気として認識され診断・治療される様になったのと同じ様に、今後サルコペニアも診断・治療の方法論が確立され、病気として認識・治療されることになる、という話を聞き腑に落ちるものがありました。
吉村先生の勤めておられる病院での、先進的な栄養と運動療法の取り組みや、様々な研究結果も実に興味深く、栄養と運動、という従来から健康において大切であると皆が知っている、既存のものを、掘り下げて臨床に活かす姿勢を見習いたいです。
具体的な講演の内容で私が覚えている5%は以下の通りです:
栄養
・サルコペニアの予防・改善にはタンパク質の摂取が必要
・高齢者の方が若年者よりも、より多くのタンパク質を摂取する必要がある
・1食で摂取すべきタンパク質は高齢者では0.4g/kg、体重50kgの人で10-20gくらい
・過剰に摂取しても筋肉にはならない
・タンパク質は量も大事だが質にもこだわる
・赤身の肉より、白身の肉や魚の方がよい
・運動後1時間以内のタンパク摂取が最も有効
運動
・集団立ち上がり訓練は午前と午後にそれぞれ120回ずつ行なっている
・個別のリハでは意欲のない患者さんも集団だと取り組めることもある
・認知機能への好影響もあり
・立ち上がれない人も参加して上肢の筋トレなどできることを一緒に行っている