ミニレクチャー No. 9 回復期リハでのOTの役割

回復期リハでのOTの役割

OT:Occupational Therapist 作業療法士 は、様々な「作業」するという動作を利用しながら、機能の改善を図ると同時に、患者さんのやりがいや生きがいも高めていきます。また、退院後の生活を想定しながらの日常生活動作や調理・洗濯・掃除等の家事動作に対しても指導・援助していきます。

1. そもそも「作業」とは?
“Occupational”の意味を辞書で調べると、「職業の」という意味が出てきます。名詞形である“Occupation”の意味は「職業、業務、(楽しみまたは日常生活の一部としての)時間の費やし方、気晴らし、従業、(土地・家屋などの)占有、居住、(地位・職業などの)保有、占有期間、占領」とあります。つまり作業療法の「作業」とは、ただ単に「手作業をするリハ」という意味ではなく、「その人の人生を占有する、その人が最も価値を置いていることに基づいたリハ」です。

2. 病棟でのADLを高める
回復期リハ病棟では、1日の大半を占める病棟生活がもっとも重要な「作業」です。リハの時間に行った動作を、病棟生活に取り入れADLを高めるために、他職種との情報共有を行います。トイレや更衣、入浴などの動作で、患者さんがリハで獲得した能力を引き出すための方法や環境設定を共有し、日々の生活に取り入れます。

3. 上肢機能を高める
多くの「作業」が上肢・手を用いる必要があります。ですので、必然的に上肢の機能向上を目的としたリハがOTの重要な一部となります。例えば、脳卒中後で麻痺した手の運動療法を行ったり、補助するための、その人にあった道具・装具を提供します。

4. 退院後の生活に必要な作業能力を高める
回復期リハ病棟入院中に行うことは、退院後の生活に必要な能力を高めるために行われます。退院後に全く必要のない「作業」の練習をするのは無意味ですし、退院後に必要な「作業」をまったく行わないリハも時間の無駄です。適切なリハを行うには退院後の生活を具体的にイメージすることが大切です。