ミニレクチャー No. 8 回復期リハでのPTの役割

回復期リハでのPTの役割

PT:Physical Therapist 理学療法士が患者さんの歩行や乗り移りの介助をしているのを見ても、他の職種のひとが行なっている介助との違いは、わからないかもしれません。しかし、何を見て、何を感じながら介助をしているのか聞いてみて下さい。きっと、その患者さんの動きを引き出す様な介助・誘導を行なっている事がわかると思います。今その場の状況を切り抜けるための介助ではなく、訓練的な要素を含んだ、患者さんのポテンシャルを引き出す介助をしています。

1. 身体機能を評価する知識
PTは動作や移動能力をみるスペシャリストです。身体機能を評価する知識を持っており、その知識を患者さんや他のチームのメンバーに提供します。他にも、肺炎や呼吸器疾患で痰が多い患者さんの痰喀出介助や、ポジショニング(快適な姿勢を作ること)、温熱療法や電気刺激療法などの物理療法を治療に取り入れる事もあります。

2. 道具の知識
歩行を補助する道具や、車椅子、装具やサポーターなどの様々な道具の知識を持っています。それぞれの患者さんに適合した道具選びと、適切な使い方を指導します。

3. 難易度設定
それぞれの患者さんに適切な難易度の課題と運動量を設定してリハを行います。課題は難しすぎても、簡単すぎても効果がありません。動作を分析し、さまざまな工夫によって患者さんが少し頑張ればできるレベルの課題を常に提供します。

4. 実生活に適応
回復期リハでは、機能回復、基本動作能力の再獲得、ADLの向上を図り、活動性を増加させる事で患者さんの生活能力を向上させ、在宅復帰と社会復帰を目指します。病棟での生活の、一歩二歩先を目指し、また獲得された能力を実生活に落とし込むタメに、決して独りよがりにならずに、専門的視点を「見える」化して、他職種と情報共有する事が重要です。

参考文献
大高洋平 編著:回復期リハビリテーションの実践戦略 活動と転倒 リハ効果を最大に、リスクを最小に, 医歯薬出版, 2016.