No. 131 糖尿病性足病変

糖尿病性足病変

 

褥瘡に似て非なるものとして糖尿病患者に起こる足の潰瘍があります。末梢神経障害、末梢血管障害、感染症のいずれか、もしくはこれらの組み合わせによって起こります。

 

末梢神経障害が主な原因による皮膚潰瘍は、おもに関節の突出部に生じます。運動神経障害や自律神経障害により皮膚の乾燥や骨の変形を招き、外傷や熱唱、靴擦れをきっかけにしてできた傷から進展してゆきます。一般的なフットケアと適切なフットウェアなどによる除圧が必要です。

 

末梢血管障害いわゆるPAD(peripheral arterial disease)を主とする皮膚潰瘍の場合は、循環の末端である足趾や踵から始まります。踵から始まるものの場合、いわゆる褥瘡と間違われることがあり、褥瘡と判断して除圧をしたり、壊死組織をデブリードマンしたりして肉芽形成を促しても、そもそもの血流がないため全く良くなりません。治療にはそれらの処置に加えて血行再建術が必要です。

 

褥瘡かPADよるものかの判断のためには、足背動脈が触知できるかどうかが判断の参考になります。またPADによる潰瘍は、潰瘍の周縁は毛細血管の拡張により赤くなり(これをred ring signと呼びます)、さらに肉芽組織が形成されにくいという特徴があり、ことから普通の褥瘡ではないことが推測できます。そして、ABI(ankle brachial index)を計測したり、CTAやMRAによる画像診断を行います。

 

参考文献

今日の臨床サポート

寺師 浩人:足の褥瘡について, 褥瘡会誌. 16(2):107*111, 2014.