No. 172 大腿義足;その他の部品

多軸回転ユニットは複数軸での軸回転を可能にします。一般にはトルクアブソーバーと呼ばれます。地面にしっかりと足部が接地した状態で義足をねじることが出来ます。荷重をやめると元の位置に戻ります。これはゴルフの際のねじれる動きを容易にします。内骨格軸回転ユニットは患者が手動で膝や足部を回転させ、足を組んだり、靴紐を結んだりできるようにします。調整可能なシステムがあるものは義足処方後にも再調整が可能です。軽量な義足素材として、チタンやカーボンが用いられることがあります。チェックソケットは最終的なソケットを作成する前の、適合確認のために用いられます。これは透明なプラスティックで出来ています。

 

過去には義足用ソックスを皮膚の上に履いていました。ソックスはクッションの役割や汗を吸収する役割を提供し、また残存肢への剪断力を減少させていました。現在では、ソックスは残存肢が細くなった時にその体積を増やすために用いられ、ライナーの上から履きます。義足用ソックスは様々な厚さのものを1~7層にして用います。通常は1、3、5層にして使用してフィッティングします。残存肢が小さくなったり大きくなったりするのに合わせてソックスを追加したり、減らしたりします。ゲルライナーの上に10層以上のソックスが必要になった場合は、普通ソケットを新しく作り直します。ナイロン製のカバーは残存肢への剪断力を低減したり、汗によるむれを改善することができます。しかし、ナイロン製のカバーをライナーの下に装着するとライナーの残存肢との吸着が弱くなります。

 

審美用のカバーはスポンジ素材で出来ており、義足の各部品を覆って反対側のあしと同じ様な見た目にするものです。最近の新しい技術の登場によって、カーボングラファイト製の部品やスタイリッシュなソケットデザインが増えたため、多くの患者はカバーしないことを好みます。カバーは濡れると水を含んだスポンジのようになってしまいます。しかし、失ったあしと同じようなものがあることを認識することが必要な患者も存在します。

 

義足用皮膚はシリコンなどの素材で、個人の皮膚の色に合わせて作られます。義足用皮膚にはカスタムメイドのものと、そうでないものの2種類があります。カスタムメイドでないものは、色見本から患者の皮膚によく似たものを選んで作成します。カスタムメイドの義足用皮膚は、患者の反対側のあしの皮膚の色と完全に一致し、さらには体毛のパターンまで一致させて作成されます。非常に高価で、時には義足本体の値段よりも高くなることがあります。どちらの義足用皮膚にも防水機能がありますが、泳げるほどの完全防水ではありません。耐久性は弱く、傷がつくと、そこから裂ける可能性があります。またソケットから足部までひと続きの義足用皮膚を用いると義足の機能を制限する可能性があります。