ミニレクチャー No. 44 IADLについて

IADLについて

 

ADLは、日本語では日常生活動作のことですが、もはや略語の方が通じやすいくらいに皆さんよくご存知でしょう。ADLは日常生活をおくる上で必要な活動・動作であり、FIMの様なADL評価では必要最低限の日常生活動作をピックアップして評価することで、日常生活にどの程度の介助が必要なのかを把握することが出来ます。

 

入院中の病棟での生活であれば、FIMの項目がすべて自立し、FIMが満点になれば、実際に介助の必要ない生活を送ることができるでしょう。そうなれば、自宅退院が可能であると判断され、自宅退院に向けての準備を開始するでしょう。

 

ところが、実際に家へ帰って生活を始めてみると、一人暮らしであったりすると特に、入院中はADLに介助が必要なかった人でも生活に困る場合があります。外の社会で自立した生活をおくるためには、FIMに含まれているADLの範疇を超える行為が自立している必要があります。このADLよりワンランク上の行為・活動を、「手段的日常生活動作」と言います。聞きなれない日本語なのは、英語のInstrumental Activities of Daily Livingの直訳だからです。ADLと一緒で、略語のIADLの方がまだ聞いたことがあるかもしれません。

 

IADLには具体的には以下のような項目が含まれます:

 

・電話をする(自分で番号を調べて電話をかけれるか)

・買い物(すべての買い物を自分で行うか)

・食事の準備(自分で献立を考え準備・給仕までできるか)

・家事(日常的な範囲のことをすべて自分で行うか)

・洗濯(すべて自分で行うか)

・乗物の利用(自分で運転したり公的機関を利用して旅行したりするか)

・自分の服薬管理(適正な量の薬を規定の時間に飲めるか)

・金銭の管理(銀行手続きやお金の出し入れ等、お金の管理をすべて自分で行うか)

 

言われてみれば確かに、この様なことが出来ないと社会生活に困るだろうな、と思われるでしょう。IADLは身体機能の障害よりも、むしろ記憶力や判断力、注意力、物事を計画立てて行う能力など、より高次の認知機能の障害がある場合に問題となります。

 

IADLの評価については、これが定番、という評価方法はありませんが、よく見られる評価方法としてはLawtonのIADLやFrenchay Activities Index (FAI)などがあります。

 

患者さんの退院後の生活をADLのみならずIADLまで考えて、入院中に評価する、準備するようにしたいですね。