ミニレクチャー No. 7 回復期リハでの看護師の役割

回復期リハでの看護師の役割

病院には様々な職種の人が働いています。複数の職種が一人の患者の治療に関与しており、それぞれの専門性を十分に発揮する必要があります。いわゆるチームアプローチです。チームの他のメンバーがどの様な専門性と役割を担っているのか知ることが、チーム全体のパフォーマンスを上げるためには必須です。まずは、回復期リハのチームの要である(と私は思っている)看護師の役割です。

1. 健康管理
全身状態の観察を行い、内服援助や、栄養管理、排泄管理などを行います。ひとりひとりの通常の状態を知り、異常の早期発見につとめます。そのためには既往歴や入院前の生活習慣を知ることが大切です。

2. 日常生活の援助
食事、 更衣、排泄、睡眠、整容など日常生活動作全般の援助を行います。ここで注意しないといけないのは、回復期リハでの援助は、出来ないことを代わりにやってあげることではありません。「できるADL」を「しているADL」にするための援助が必要です。最終的にはリハ中のADLではなく、病棟でのADLが退院後のADLになると思ってください。リハは最大でも3時間、残りの21時間は病棟生活です。リハで獲得した日常生活動作を病棟で繰り返し実践することが大切です。

3. 安全対策
転倒転落予防、安静度の評価などを行います。安全のために時には抑制も検討しますが、抑制を開始したその日から抑制を解除するための評価も開始し、行動制限は最小限・最短にする必要があります。また昼間と夜間で動作能力が大きく変わることもあるので夜間の状態の評価も大切です。

4. 退院指導
日常生活援助の方法、移乗・移動動作の方法の指導は、家屋写真や家屋調査をもとに実際の家の配置や物品を確認し病棟の環境を家に近づけて行うのが理想です。また健康管理方法の指導や、管理栄養士による栄養指導、薬剤師による服薬指導も行い、退院したその日から、健康に暮らせるように、入院中からひとりひとりに合った退院指導を行います。

参考文献
大高洋平 編著:回復期リハビリテーションの実践戦略 活動と転倒 リハ効果を最大に、リスクを最小に, 医歯薬出版, 2016.